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国際観察|円安圧力の持続による日本経済の圧迫が顕著に

2024年05月02日10:02|出典:新華網
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新華社東京5月1日電標題:円安圧力が持続日本経済の圧力受けが明らかに

新華社記者の鐘雅劉春燕

最近、円は激しい変動の中で弱体化し、海外外国為替市場の円相場はドル相場に対して一時160対1の大台を割り込み、1990年4月以来の最低記録を更新した。

日本のメディアや専門家は、円安傾向が続く恐れがあり、日本経済に明らかな圧力を与え、日本のデフレ脱却に不利であると同時に、日本の小売業、エネルギー、航空などの業界に圧力を与え、輸入原材料に依存する企業の負担を強めているとみている。

FRBの急激な利上げは円安要因

4月29日午前の海外外国為替市場の円相場は一時、1ドル=160円24銭まで下落した。同日午後、円相場は1ドル=154.10円台に回復した。市場の推測では、円相場が一時的に回復したのは、日本政府が介入した結果かもしれない。

円安の根本的な原因は、日本と米国の通貨政策の違いによる大きな金利差だ。疫病発生期間中に前例のない通貨の「大放水」を推進していたFRBは、2022年に「急旋回」し、インフレに対応するための急進的な利上げを開始し、世界経済に深刻な負の流出効果をもたらし、多くの非米通貨が大幅に下落し、多国籍銀行は利上げを余儀なくされた。

しかし、米国に対しても歩調を合わせてきた日銀は、国内のデフレ情勢を受けて低金利政策を堅持してきた。日銀は4月26日の金融政策会合で、現行の金融政策を維持し、政策金利目標を0~0.1%に維持することを決めた。日銀の植田和男総裁は同日の記者会見で、円安が日本のインフレに大きな影響を与えていないと述べた。その後、市場では日銀の利上げ期待が弱まり、円売り操作が増え、円相場の対ドル安が続いた。また、機関投資家の大量利食い取引操作、日本の個人資金の海外投資なども円安を激化させている。

日本自身から見ると、一方で日本はエネルギー、食品、原材料などの重要な資源に対して輸入に大きく依存し、ドルに対する需要は引き続き高まっている。一方、2021年度から2023年度にかけて、日本の貨物貿易は3会計年度連続で貿易赤字を呈し、円安圧力をさらに激化させた。加えて、日本の少子高齢化問題が深刻で、膨大な額の海外投資収益の還流を引き付けることが難しく、これらの要因は円安傾向を避けることができない。

円安「車輪」は短期的には回りにくい恐れがある

市場では、日本政府の円相場介入への「容認点」が2022年9月の1ドル=145円台から、現在の1ドル=160円台に徐々に後退しているようだ。しかし、FRBの利下げ予想の弱体化による「ドル高」を受け、日本政府の円相場への介入効果は持続しにくい恐れがある。

最近の米国のインフレ率は著しく回復し、市場はFRBが長期的に金利を高位に維持すると予想している。日米金利差の縮小が難しい中、円安の「車輪」は短期的には止まる恐れがある。アナリストは、間もなく開かれるFRBの金融政策会議が利下げ延期のシグナルを放出すれば、円安がさらに進む恐れがあるとみている。

「日本経済新聞」のウェブサイトは、日米両国の大きな金利差が円安を招いているという根本的な原因が変わらない限り、日本政府が介入しても、円安の勢いは逆転しにくいと報じている。

日本経済はジレンマに直面している

円安は輸出企業の業績に良いが、日本経済にも多くの圧力を与えている。

一方、円安は日本の庶民に財布をよりきつく覆うようにさせ、日本がデフレから抜け出し、物価上昇に伴う賃金上昇の好循環に入るのに不利である。財務省の神田真人財務官は4月30日、統計データによるインフレよりも重要なのは「スーパーの食品飲料が大幅に値上げされており、最も脆弱な層への衝撃は明らかだ」と述べた。

神田氏は、円安が日本の実質賃金引き上げの努力を阻むとみている。日本の厚生労働省の統計データによると、物価上昇要因を除いた2月の日本の実質賃金収入は前年同月比1.3%減少し、23カ月連続で前年同月比減少した。実質賃金の減少は消費の弱さを招いた。総務省の統計データによると、2月の日本経済の半分以上を占める個人消費は前年同月比0.5%減となり、12カ月連続で前年同月比マイナスとなった。同時に、日本の家計はさらに圧迫されている。みずほリサーチ&テクノロジーによると、円安や原油高の影響で、2024年度の日本の家計の平均支出負担は10.6万円増加するかもしれない。

一方、円安は日本の小売業、エネルギー、航空などの業界に圧力をかけ、輸入原材料に依存する企業の負担を重くする。明治安田総合研究所によると、円安の影響で、ドル相場が160対1になると、輸入物価は8.7%上昇する。当日のドル対ドル相場が170対1になると、輸入物価は13.5%上昇する。例えば、日本のホーム企業である似鳥ホールディングスの商品の9割を海外で製造して日本に輸入して販売しており、円対ドルで1円下落すると、通期の経常利益は20億円減少する。

泉川友樹国際貿易促進協会理事兼事務局長は、日本経済は現在の金利維持では円安問題を解決できないジレンマに直面しているが、金利引き上げは日本政府が返済しなければならない債務の暴騰につながり、これは以前の「安倍経済学」政策がもたらした結果だとみている。

(担当:崔訳戈、燕勐)

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