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アルゼンチン経済改革は「難関突破」を

アルゼンチン駐在の本紙記者、範剣青
2016年05月03日09:29|出所:人民網-人民日報
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国際通貨基金(IMF)がこのほど発表した「米州経済見通し」報告書は、アルゼンチン経済は2016年に1%前後、2017年には2.75%の成長が期待されると予測した。

アルゼンチン新政府は昨年12月の政権発足以来、経済政策で一連の重大な調整を行ってきた。1つ目は、前回政府が推進した外国為替規制を撤廃し、自国通貨ペソの対ドル為替レートを一度に約40%切り下げることを許可したことだ。これまでアルゼンチン・ペソの為替レートは市場が決定し、ほぼ安定していた。第二に、国際債権者と債務返済協定を締結し、15年にわたって遅延していた債務違約問題を解決した。同時に国際投資家に総額150億ドルのソブリン債を発行したことは、アルゼンチンが15年ぶりに国際金融市場に再参入し、外部市場への融資の機会を得たことを示している。第三に、水、電気、ガス、バスなどの公共サービス事業に対して大幅な値上げを実施し、政府の公共サービスに対する補助金の支出を削減する。第四に、農牧製品の輸出税負担を大幅に削減し、農牧業の輸出を刺激し、農牧企業の投資拡大を奨励する。

これらの政策はアルゼンチン国内の多くの産業部門から歓迎され、多国籍企業のアルゼンチンへの投資意欲も明らかに上昇したが、一方でこれは厳しいインフレなどのマイナス影響をもたらした。新政府発足当初は2016年のインフレ目標を25%と定めていたが、多くの民間経済研究機関は、今年のインフレは明らかにこの目標を上回るだろうと考えており、経済政策決定部門はインフレ抑制と経済成長刺激においてジレンマに直面している。全体的に見ると、現在アルゼンチンは経済改革政策が集中的に打ち出され、効果が観察されるべき「難関突破」の段階にあり、モデルチェンジのチャンスとリスクが共存している。

外部経済環境はアルゼンチンにもいくつかの不利な要素がある。第一に、世界経済の回復は予想を下回り、外部需要が弱く、アルゼンチンの輸出を抑制した。ブラジルはアルゼンチン第1位の輸出市場だが、ここ2年はブラジル経済が深刻な不況に陥り、アルゼンチンの対ブラジル輸出は大幅に低下している。第二に、大口商品の価格低迷が続いている。IMF報告書は、今後数年間、大口商品の価格は相対的に低い水準を維持するとみている。第三に、国際金融市場の動揺はラテンアメリカ地域に明らかな衝撃を与え、アルゼンチン政府と企業の融資金利は依然として高い。

アルゼンチンの外部環境全体の困難を背景に、中国とアラブ諸国の経済関係の発展が注目されている。アルゼンチン国家統計局が先ごろ発表した統計によると、2015年のアルゼンチン中国の二国間貿易額は前年比10.5%増の171.71億ドルだった。このうちアルゼンチンの対中輸出は53億8800万ドルで、前年より12.4%増加した。アルゼンチン第2位の貿易パートナーと第2位の輸出市場として、中国のアルゼンチン経済に対する牽引作用は明らかである。先日開催された第2回中国・アラブ企業家シンポジウムで、多くの企業家と経済学者は、現在、中国・アラブ両国はそれぞれの改革の重要な時期にあり、両国はインフラ建設、金融、農業、再生可能エネルギーなどの分野で多くの協力機会を持っており、今後、中国はアラブ対外経済貿易関係の中でより重要な地位を占めるだろうと考えている。駐アルゼンチン中国大使の楊万明氏は、中国は資金、技術、設備の面で優位性があり、アラブ側はモデルチェンジと発展、産業のグレードアップの面で実際の需要があると述べた。二国間経済貿易関係は貿易、投資、金融の並進と構造が日増しに多元的に均衡する良好な局面を形成している。

(本紙ブエノスアイレス5月2日電)


「人民日報」(2016年05月03日22版)

(担当:李警鋭、常紅)

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