西湖大学生命科学学院講席教授の柴継傑チームと協力者は、植物中のNLR蛋白質のオリゴ重合促進自己抑制機構及び六リン酸イノシトール、五リン酸イノシトールの植物免疫信号における新しい役割を明らかにし、これまで発見されていなかった一類のNLRが植物免疫を媒介する独特なメカニズムを発見した。これは植物病害による食糧減産、食糧安全問題に対応するための新しい考え方を提供した。6月12日、関連論文はオンラインで『ネイチャー』に発表された。
長期的に抗ウイルスタンパク質に注目している過程で、柴継傑チームはトマトの中に抗ウイルスタンパク質の一種であるNRCタンパク質が「常識に合わない」ように見えることを発見した。「外敵の侵入」がない正常な状況でも、表現量は高い。なぜトマトには「免疫の大軍」が集結しているのに、いつまでも「我慢できない」のか。タバコなどの他のナス科植物にも、このような特性がある。
チームは、トマト中のNRCタンパク質NRC 2の1つが二量体と四量体を形成し、濃度増加条件下で高次オリゴマーを形成できることを発見した。凍結電子顕微鏡を用いて、これらのオリゴマー中のNRC 2タンパク質の不活性立体配座を示した。構造解析によると、NRC 2の二量化とオリゴマー化は不活性状態を安定化させ、自発活性化を防止することができ、すなわち異なるモノマー間の相互作用により、安定した自己抑制状態を維持することができる。つまり、これらのタンパク質は自発的に活性化を防ぎ、次の免疫状態に入る構造形態を形成し、「無謀な作戦」で免疫危機を引き起こすことはない。
チームはまた、リン酸イノシトールがNRC 2タンパク質媒介の免疫を維持する上で重要な補助作用を果たすことを発見した。リン酸イノシトールは植物のエネルギー代謝過程において非常に重要な有機小分子の一種である。リン酸イノシトールとNRC 2蛋白には「癒着」があり、リン酸イノシトールとNRC 2蛋白のC末端ロイシンリッチ反復ドメインが結合している。結合はNRC 2タンパク質媒介細胞死反応に必須である。対照群の実験において、研究者はリン酸イノシトールを「除去」した後、NRC 2蛋白質は上流効果因子に活性化されにくく、リン酸イノシトールがNRC 2信号伝導の調節に重要な補助因子の役割を果たしていることを確認した。NRC蛋白質はNLR蛋白質に属しているため、科学者がNLR蛋白質が補助因子を必要として免疫作用を発揮することを発見したのは初めてだ。(ジャーナリストの温才妃)
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担当:張佳興]