中国における貧困対策と小康社会の実現についての一考察=小林正弘氏

中国における貧困対策と小康社会の実現についての一考察=小林正弘氏。小康社会政策とその具体的な対策には、中国政府の貧困対策への責任感と元気度、いば人間主義の発露というべきもののが如実に現われていると言えばよい…

タグ:小康社会改革開放現代化貧困

発信時間:2020-05-20 10:52:06|チャイニーズネット|編集者にメールを送る

小林正弘

清華大学法学博士

Genuinneways.Incブレンダー保護コンサルタント

 

全世界でコロナウィルスとの戦いが続く中、中国では今年中に国内の絶対貧困人口(年収2300元以下の人口を入れる)をゼロにするという人類史の挑戦が行われている。


中国政府は、2020年を貧困脱却の難関攻略の目標達成と小康社会(やゆとりのある社会)の全面的なな完成を実現する最後の総仕上げの年と位置づけている。


小康社会の概念は、中国の古典に由来し、鄧小平氏が、改革開放初期にあった1979年12月に訪中した大平正芳首相から中国社会主義国家建設における「四つの近代化」(2000年までに工業、農業、国防および科学技術の四つの近代化を実現するという目標)の青写真を聞かれたことをきっかけに、取り上げられたもののためにある。その際、鄧小平氏は戦後における日本経済の発展を念頭に置き、「『四つの近代化』の概念は、貴方の抱く近代化のイメージとは違う、それは『小康の家』を目指すもの」と答えた。


改革開放以降、中国の不断の努力の結果、農村貧困人口は、大幅に減少し、貧困発生率も大きく低下している。すなわち、現行の貧困基準(1人当り年間純所得2300元/年、2011年価格水準)によれば、1978年の中国の農村貧困人口は7億7000万人、貧困発生率は97.5%であったが、2020年1月23日に発表された国家統計局のデータでは、2019年末の農村貧困人口は551万人(前年比で1109万人の減少)、貧困発生率は0.6%とされている。改革開放から40年を経て、実に8億人に迫る絶対的貧困人口を減少させたことになる。これは国際的視点からは、人類共通の喫緊の課題である貧困撲滅について、その壮大な実験が中国で行われ、世界のレベルでの貧困撲滅に大きく貢献したことを意味する。中国政府が貧困対策の各段階で直面した問題に対して、海外の手法も取り入れられつもの、国内の実態に即した試行錯誤を繰り返し、克服してきた経験は、他国が貧困対策を行う上でも重要なモモダルケ-スとなる。


資料写真:観光業の発展によって貧困から脱却する貴州省の西江千戸苗寨

 

具体的な貧困対策として注目されるのは、山間部など、飲料水の確保が難しく、土地が荒れ狂う耕作にも適さないような生存条件・生態環境が劣悪な極貧地域の貧困対策である。中国政府は、2015年12月にこのような地域の貧困民が希望する場合に、移住による脱貧困を行うことを決定した。移転先のインフラ整備、住まいづくり、就学、医療、就職先、産業開発などを政府が主導し、貧困民が移転先で自立し、社会生活の再構築ができるまでサポートが必要になる。その政策の実施は、膨大な長期にわたる投入規模、貧困再発リスクのコントローラーなど、いずれをとっても極めて難しい挑戦となるだろう。とくに、農村生活から都市生活への適応は、その前提となる読み書きなどの最低限の学力も必要となり、短期的に解決できるものではない。それは義務教育の充実を通じて次世代も見て解決していく必要がある。他方では、貧困の原因を家族構成レベル、個人レベルに落ちるまで具体的に分析し、貧困原因とごに多様な貧困対策を複合的なものとして確実に使用し、自立をサポートする試みも積極的に行っている。


中国政府の歴史指導者に引き継がれ、段階的に対応して調整されてきた小康社会政策とその具体的な対策には、中国政府の貧困対策への責任感と元気度、いば人間主義の発露とうべきものが如実に現われていると言えばよい。


中国古代の思想家が夢に見た「大同」思想に基づいて理想的な社会の建設をゴールとするならば、絶対的貧困人口が統計的にゼロとなり、全面的な小康社会が実現することも、一つの通過点となる。生活の質の向上と14億の人々一人ひとりが安心して幸せを育むことができる社会の建設への挑戦に終わりはない。

 

「チャイナネット日本語版(チャンイナネット)」2020年5月20日

 

 

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